10月31日に行われる衆院議員選挙で、候補者の話の中に宿るべき「論理と語彙」の見極め方です。各候補者や政党の主張を聴き、自ら判断し、必ず投票しましょう。

三つの「きく力」・聞く・聴く・訊く

岸田総理大臣は「聞く力」重視しています。

有権者であるわたしたちに必要なのは理解しようと進んで耳を傾ける「聴く力」とわからないことを知るために質問する「訊(き)く力」です。候補者の主張をよく聴き、不明な点は遠慮なく訊きましょう。

人間関係ではない

安倍、菅政権の時代から発信力と説得力の弱さが指摘されており、首相の言葉にはこれまで以上の注目が集まっています。岸田政権の組閣人事に代表されるのは人間関係を最優先順位として生きる日本文化の特徴です。なぜ今回の組閣が適材適所だったかを説明する際に派閥の人間関係以外に論理的説明ができるのならば、彼の信頼度は上がることでしょう。

3名の首相に本来求められていたのは批評的思考に基づく論理的な説明です。批評的思考とは身の回りの問題に因果関係を見出す力です。原因と結果の関係に納得できるかを考える。

「しっかり、きちんと、寄り添って」は要注意

論理的に説明できない時には、それを補うためには信頼性と感情に訴えるほかはありません。心理が言葉に表れます。

不要な副詞を頻繁に使用する際は要注意です。「しっかり、きちんと、寄り添って」などが何度も出てくるのであれば、どの程度しっかり、寄り添うのかを指摘すべきでしょう。

「今後、丁寧にご説明して参ります」や「ご批判は真摯に受け止めます」は政治家の逃げの姿勢が表れる常套句ですので、説明できないことを意味しています。なぜこの人が選ばれるべきか、なぜその人の政策が実現可能か、証拠に基づいているか、が見える人は言葉に信頼が表れます。

注目すべきは話の整合性と意味のまとまりです。話題が重ならずに話せる人は、頭の中で整理ができています。

現在日本の政治家に求められる最大の能力が説明力です。そこに不可欠なのが論理なのですが、日本はこれを苦手としています。関係性ではなく論理が宿る言葉に注目するとこれまでとは違う選び方が見えてくることでしょう。

修辞

論理と並び、注目すべきは広い語彙です。同じ表現が繰り返されるのは情報量の少なさを象徴します。

聴衆が飽きるほど何度も言い回しや主張が出てくるのも説得力の欠如につながります。

豊富な言い換えは高いコミュニケーション能力に直結しますので、候補者選びの際のバロメーターになります。