日本を変える子供たち

数年前からお付き合いのある福岡県タレント発掘事業の方から今年もお問い合わせを頂きました。

タレント=才能ですので、ここでは芸能人の話をしているわけではありません。

この事業は、福岡県に住む、まだまだ金の卵であるトップアスリートたちが、一堂に集結して高いレベルで総合的に学ぶ企画です。

ここで学び、実際にオリンピックに出場した方たちがたくさんいます。

小学生5年生から中学3年生までが在籍しています。

最先端の設備と指導者により、福岡県が若い才能を引き延ばすためにデザインした活動です。

カリキュラムにはいろんな授業/トレーニングが用意されていますが、私の仕事は、彼らが大人になった時にしっかりした受け答えができるよう言葉を成長させることです。

そう、それはインタビューの場面です。

プロスポーツ選手と実業団選手のインタビュー

日本のスポーツ選手、特にプロのインタビューはひどいものですね。

聞く側の問題もありますが、観客に向かって雄たけびを上げるなど、インタビューとは呼べない代物が多いです。

あれは人前で話す術を知らないから飲み会の延長でいいと思っているのでしょう。

あんなの日本以外の国では見たことがありません。

インタビューの意味を履き違えており、実に幼い。

一方、アマチュアは社会人や実業団に所属しており、社会の秩序の中で生活していますので大人の話し方ができる人が多いです。

高校野球に全てを注ぎ込んでろくに勉強もしなかったのにもかかわらず、卒業後すぐにプロに入ってしまうと貴重な学びの時間がありません。

自分で学問と両立させながらトッププロになれる人はほんの一握りです。

だから、バランスのいい学びの機会が子供たちに提供され、知的なプログラムもこの事業に取り込まれています。

素晴しい企画です。

CSAの動画を多くご覧になっていたということで、これをインタビューに取り入れたいとのことでした。

抽象度の高い表現が使えるか

日本のアスリートに欠けていて、海外のアスリートに長けているのは抽象度の高い表現です。

例えばゴルフ選手の場合

「難しいホールだったんで、なんとかパーで乗り切りたいと思ってて、ボギーを打たなかったんで、まぁ、よかったなぁと思います。」

を英語の感覚で言うのであれば、

「難易度が高さが特徴のホールでしたが、パーで乗り切ろうとする私の目論見で、敢えて挑戦を避けるプレーにつながりました。」となります。

私が日本のアスリートに求めるのはこうした表現です。

海外の選手はこうした大人の表現で受け答えができるのです。

英語だからではありません。

英語にも具象度の高い、幼い表現がたくさんあります。

抽象度の高い表現は大人にならないと難しいと考えられがちなのですが、日本では大人でもできない人が多いです。

できないのは単にやっていないだけ。

そして大人が具象度の高い表現しかできないのであれば、残念ながらその人は頭を使っていないのです。

これが、福岡県が期待する知的プログラムに応えるべき子供たちの変化です。

彼らが大人になって大活躍をするアスリートになった時に次の世代の子供たちがそれを見ます。

そして憧れとなります。

イチロー選手の言葉は他のプロとは違っていましたね。

彼独特の言葉ということでイチロー語録などと呼ばれましたが、なぜ注目されたかというと他の選手よりも抽象度が高く、比喩に長けていたからです。イチローさんのような選手が珍しくなくなるくらい、福岡出身のアスリートを変えていきたいですね。

去年はコロナウィルスで中止となったこのプログラム。

今年はどんな子供たちに出会えるかな?