石破内閣が始まりました。

自民党らしくない政治家ですので、これまで相当辛酸を舐めてきました。

先日まで行われていた総裁選で、決選投票で高市氏を破り石破氏が初の総理大臣となったわけですが、スピーチコンサルタントの立場から決選投票直前で行われた5分間のスピーチについて論じます。

この記事を書いた人↓

野中アンディ(自己紹介はこちら

用意周到な石破氏

彼がこれまで抱いていた日本に対する郷愁の思いが全面的に出ていた話でした。

能登で被災した方たちへの見舞いの言葉から始まり、自民党の一体感に触れ、

感情に訴え、60年前の幼少時代を懐古し、笑顔と幸せな明るい日本を取り戻したいと訴えました。

なんとなくトランプの主張と似ていますが、彼の場合は怒りを煽動する手法です。

対して、石破は温かさを求める感情に訴えていました。

同じ保守でも随分と違うものです。

この「感情に訴える」とは、自分が感情的になるのではなく、聞いている人の心に生じる感情を指します。

5分ピッタリで終えていたのも完結した話の印象にさらに拍車をかけていました。

 

下の動画の1時間12分くらいから二人のそのスピーチを聞くことができます。↓

(FNNプライムオンラインから引用)

準備不足の高市氏

一方、高市氏は準備が全くできていませんでした。

話にまとまりがなく、かつ時間を過ぎても話し続けていました。

まとまらないから、違う話題がどんどん後付けされていきます。

その証拠に「そして」と「また」が彼女の話には多すぎます。

能登の件にも触れていましたが「大変な」を言う時の感情移入丸出しが白々しい。

ああしたわざとらしい非言語は実は逆効果なのですね。

私が非言語を重視しない理由です。

彼女の話はいつ終わるか分かりません。

最後は話を切り上げるよう指示が出る始末。

 

彼女に求められるのは人前で話す際に欠かせない論理展開です。

3年前にも同じ印象を私は覚えた私は、毎日新聞で答えた際にも似た意見を残しています。

こちらをご参照ください。

論理が必要

論理とは聞く人(または読む人)の分かりやすさを優先させるために欠かせない考え方です。

自分が言いたいことを思いつくがまま話していては、相手は混乱します。

日本人は散らばった話し方であっても、聞いている側がなんとか理解してあげようとするから伝わる可能性が高くなります。

しかし英語では「何言ってるか分かんない」とはっきり言われます。

“So, what’s your point?”

“What is meant by that?”

“I have no idea what you’re talking about.”

などなど、他にもたくさんの「何言ってるか分かんない」の表現を浴びせられます。

英語は論理的な言語であり、日本語は対人関係を重視するがために論理は二の次となります。

 

でも、まとまった話を聞いたら、どれほど気持ちのいいものかは、今回の石破氏と高市氏の話で誰もが気づいたはずです。

 

聞こうとしてくれる日本人に論理的に話すと、他の人よりも分かりやすいからなお一層の好感が持たれます。

まぁそれが原因で石破氏が選出されたとは思いませんが、少なくとも次期総理大臣に相応しい話し方であったことに間違いはありません。

党首討論会に注目

そんな石破氏ですが、総理大臣になった瞬間に党内野党のイメージがなくなりました。

すぐに解散総選挙と言い出しましたが、彼は以前はそれを否定していたはず。

やはり党内で好き勝手に言うのと、総裁になって他の人たちの協力を仰ぐのでは違うのかもしれませんね。

 

まぁ彼がここから先どんな総理大臣になるのかまだ分かりませんが、言葉に注目する私は党首討論会での姿も楽しみにしています。


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