断定的に話そう
断定を避けるのは最近の日本人の傾向です。
「~みたいな」が一時期はやりましたが、まだ使っている人もたくさんいそうです。
周りの人たちとの決定的な差を生まないために、自分の意見を濁す表現です。
で、最近やたらと聞く「~感」も同じ効果を持っているようです。
・透け感
・抜け感
・価格感
・ワクワク感
・期待感
などなど、100個くらいは簡単に出てきそうです。
なんにでもくっつくから便利なんでしょうが、価格感やら期待感の感は不要でしょうに?
ニュースでも解説者なんかは「市場には期待感が広がっています」などと使います。
そして便利な表現は、得てして品位が下がります。
結果的に幼さを醸し出します。
だから「違和感を感じる」なんてことを言ったとしてもそこに違和を感じないのでしょう。
いや、現代日本人には「違和を感じる」すら不自然に聞こえることでしょう。
「違和感を覚える」なら気持ちよく聞けます。
流されていただけでは、こうした変化に気づきません。
かなりの偏見かも知れませんが、私の経験上、流行語をやたらと使いたがる人からは生産性のある話があまり聞けません。
独自性に欠けるため、話に深みがないのですね。
洞察力にも欠けます。
断定を避けるのは、周囲との同化を優先させた結果ですので、やはり突拍子もないアイディアは出てこないのでしょう。
だから会話の中で「~感」が数回聞こえたら、私は心の中でその人に「簡単に周りから流される浅い人」の烙印を押します。
やっぱりコミュニケーションでは新しい情報が欲しいですからね。
いつも同じことしか言わない人とは一緒にいても刺激がありません。
同様に、周りと同じ内容を同じ語彙で話す人にも面白みがありません。
~感を使っていないか確認してみてくださいね。
【筆者紹介】
野中アンディ
(一般社団法人 コミュニケーションスキル協会 代表理事)
子どもから大人までが参加する、言葉が洗練されるオンライン教室「パブリックスピーキング道場」を主宰。アメリカのリベラルアーツ科目である論理、修辞、文法を日本語に応用し、より独自性と創造性の高い言葉の作り方を指導している。現在は認定講師が各自の道場を持ち、言葉の見える化と映像化をテーマに全国に展開中。エグゼクティブ向けパブリックスピーキング、アスリート向けメディア対応などをプライベートレッスンでも教える。超実践的英会話講座「雑談English」シリーズも好評。企業や学校、PTA等講演多数。福岡県春日市出身。詳細はこちら。