副詞は不要

自民党総裁選挙がきっかけで政治家の話し方に焦点が当たっていますね。

私は昔から政治家の話し方をどうにかしたいと考えていました。

菅氏の話があまりにも特異だったために、誰もが話す能力の必要性に気づきましたので、私にとってはそれは菅氏の功績です。

でも他の政治家も含めて、話し方はずっと成長していません。

特に彼らが「しっかり」や「きちんと」と言った時には、だいたい嘘ですね。

「きちんと説明して参ります」…真っ赤なウソです。

「丁寧に説明して参ります」…絶対にウソです。

「前例のない」や「大胆に」は安倍晋三がよく使っていましたが、これは輪をかけて信ぴょう性に欠ける表現でした。

「大胆に進めて参ります」…聞いた瞬間に眉唾ものです。

副詞に注目

どれも副詞なんですね。

副詞とは、動詞、形容詞、副詞を修飾する品詞です。

「速く走る」で言うなら「走る」という動詞を修飾するのが「速く」ですのでこれが副詞です。

「めちゃくちゃ美味しい」は「美味しい」という形容詞を修飾する「めちゃくちゃ」が副詞。

そして「すごい派手に壊れた」は「壊れた」を修飾する「派手に」を修飾する「すごい」が副詞。

まぁ、本来「すごく」ですが現代の日本人は99%以上の確率ですごいとしか言いませんね。

で、こうした副詞の役割のうち、形容詞と副詞を修飾する副詞はほとんどの場合不要なんです。

言っている方は程度を大げさに言おうとしていますが、本来「美味しい」というだけで美味しいことが伝わるのです。

「派手に壊れた」だけで相当ひどい壊れ方をしたのが分かるのですね。

この中で「派手に」は必要な副詞でしょうが、他の副詞は主観に満ちています。

だから論文を書く時には無駄な副詞は書かないようにと、アメリカの大学院時代に厳しく指導されました。

政治家の言葉にある「大胆に」とか「しっかり」、そして「きちんと」などは言い訳がましい雰囲気に溢れていますので、逆に信頼度が下がります。

これはスピーチライターのレベルに原因があります。

こうした副詞に効果があると信じていているのでしょう。

彼らはパブリックスピーキングを学んだ方がいい。

だって書く段階から間違っているのですから。

今すぐ変えようとするのなら、無駄な副詞の効果の無さに多くの人が気づくよう促し、なんでも「すごい」で表す風潮をやめるところから取り掛からないといけませんね。