日本人が使いたがる英語表現
先日、久しぶりにピッチイベントを聴講しました。日本人も海外の人もみんな英語で話していました。
ピッチイベントとは、資金調達のための投資家向けプレゼンテーションです。
投資家は新しいビジネスの種を探しています。
いつか花を咲かせて、世界を好転させるきっかけとなるからです。
一方、創業間もない企業で、世界を変えるだけの潜在性を持っている会社をスタートアップと言います。
スタートアップの定義には、この「世界を変えるだけの潜在性」が含まれます。
日本では創業間もない企業を全てスタートアップと呼ぶ傾向がありますが、それは間違いです。
で、その企業側がプレゼンテーションをしていたのですが、日本人が使う英語に一定の共通点がありました。
それは、1文目か2文目がだいたい疑問文なのですね。
"Do you know this?"
"Have you heard about this?"
などです。
以前日本語で聞いたピッチでも同様でした。
「皆さんはこのスペースをどう活用しますか?」
「こんな時、皆さんはどうしますか?」
型を押したような始め方なんですね。
しかもビクッとするくらい大きな声で話し始める人もいました。
あたかも、「プレゼンテーションは疑問文で始めましょう」とどこかで聞いたのではないかと思うくらい、そう準備していたかのようでした。
逆接の接続詞が多い日本人のスピーチ
掴みが大事やら何やらこの国で言われているのは知っていますが、それが質問のワンパターンだけでしか考えられていないようです。
かつ、逆接の接続詞が多い。
BUT! BUT! BUT!!
これでは行ったり来たりで、話がどっちに進んでいるのか分かりません。
起承転結の弊害でして、こんな話の進め方は日本以外では一切使えません。
日本でも使えるとは私は思っていません。
ただ、これはCSAのパブリックスピーキング道場を受け始めた受講生にも当てはまる話です。
みんな疑問文を原稿に書きたがります。
みんな逆接で書こうとします。
これは相手に譲歩する書き方でして、自分の主張をすぐに否定することになります。
疑問文はたまにならいいのですが、日本人が全員の始め方でしたので、確率としては毎回やっているのでしょう。
プレゼンテーションは臨機応変に変えられるはずなのに、英語だから準備した通りでないと話せないのでしょう。
みんなモニターに映った原稿を読み上げていましたしね。
加えて、彼らは話し方がみんな同じだからといって、それが悪いとも思っていないようです。
日本人は他の人たちと同じように話したがります。
独創性を良しとしていない人が多いですからね。
最近の日本人は馬鹿の一つ覚えで「寄り添う」ばかり使っていますよ。
面白いことに、海外の方は疑問文では始めませんでした。
私が聞くほとんどの話で、英語では疑問文で始めません。
英語でプレゼンテーションをする際には、初めに頂点があるのではなく、一言目から徐々に盛り上がりを見せ、真ん中あたりから熱が入り始めます。
日本のように、いきなり大きな声で始める人はいません。
そして、百聞は一見に如かずが、この国では過度に信じられていますので、論理的説明に欠ける話が多かったです。
英語の前に日本語での論理構築が重要
英語で話したければまずは母語である日本語を世界基準に引き上げる必要があります。
私がパブリックスピーキングを教えている理由です。
英語を話したいのであれば、CSAパブリックスピーキング道場で学ぶのが意外と近道ですよ。
【筆者紹介】
野中アンディ
(一般社団法人 コミュニケーションスキル協会 代表理事)