ChatGPTとの共存は簡単か?
1月24日に本ブログで書いて以来、あえて触れてこなかったこのchatGPTですが、数日前この会社のCEOであるサム・アルトマンが来日しましたので再度扱いましょう。
1月24日のブログはこちら。
アメリカで、この道具の使用に対する社会的な懸念が出始めたため、彼は日本に市場を求め、わざわざ太平洋を越えてきました。
論理、修辞、文法を全くと言っていいほど重視しない日本人にとっては、このソフトウェアは大助かりでしょうが、世界はそうは見ていません。
私にはどうも、プレゼンをし始めた2008年くらいの日本人がパワポ職人と化した道具への依存と同じような末路を辿るように見えます。
つまり、日本は再度便利なソフトウェアに完全に踊らされて、本質を掴めないまま世界から孤立するのです。
人間は合理的な動物ですので、楽ができるのであればそちらへ流れます。
文章を作るのが苦手な人の多い国ですので、勝手に作文が出来上がるのであればそちらに頼んでも当然な話です。
実際、CSAでもその影響が出てきています。
chatGPTで原稿を作成して提出している人が見受けられますが、実は自分で書いていないことがこちらには一発で分かります。
講師が気づいていないとでも思っているのでしょう。
今の段階はCSAの文章とはそれほどの差があります。
特に論理の段階でAIはまだ遅れています。
ちなみに、chatGPTに添削をさせると、ある程度はもっともらしい添削をしますが、特に改善はされません。
こうしたサービスはMicrosoft Bing や Google Bard 等も同様に行っていまして、人によって好みが分かれています。
まぁ、CSAからすると、今の段階ではどれもあまり変わりませんが、今後は精度が上がってくることが予想されています。
分野を特定するべき
ただ、こうした進歩は、特定の利用できる分野では積極的に採用すべきです。
例えば、創造性の必要がない検索です。
法律の判例を探す際にはきっと役立つことでしょう。
恐らくビジネスでも活用できることでしょう。
購入意欲の動向を知る上で、過去のデータは使えるからです。
でも、前例に頼りたがる人にとっては、これに依存していてもやはり新しいアイディアは生まれません。
残念ながらこの傾向は日本人に多いです。
思考の放棄につながる
この類の対話型AIの最も大きな問題は、自発的に頭で考えることの放棄です。
chatGPTがないと何も考えることができない人間が増えることが多くの人にとって脅威であることは間違いありません。
薄い、浅い人間になってしまいます。
二言目には「ウィキペディアにはこう書いていますよ」が口癖の人からは新しいアイディアは出てきません。
先日は娘の入学式でしたが、PTA会長がchatGPTに文章を作らせてそれを読み上げていました。
そして「皆さんの将来はこうしたAIが当たり前のように...」と展開していましたが、今年は全く同じ話で登壇した人が多いことでしょう。
ショーもない。
先端を走っているつもりでしょうな。
chatGPTは相談くらいにしか使うべきではありません。
思考力を鍛える
そのため、自分の子供がバカに向かってまっしぐらになる将来が怖くてたまらない親御さんの不安を取り除くことがCSAの役割です。
CSAはそうした人たちを大切にします。
その不安が正しいからです。
今後人間はAIがないと生きていけない人と、AIに頼らずとも生きていける人たちの二つに分かれます。
「翻訳ソフトでいいじゃん」と開き直り、英語を放棄している日本人が世界から取り残されるのと同じです。
「プレゼンはパワポでいいじゃん」と開き直り、言葉を軽視する日本人のプレゼンテーションが世界からバカにされるのと同じです。
「チャットボットがあるから言葉の勉強しなくていいじゃん」と開き直り、まともにしゃべれなくなるのがこの国にどのくらい出てくるかを想像してみてください。
繰り返します。
この国は論理と修辞と文法を重要だと思わない教育がなされてきたため、他の国とはchatGPTの効果が違います。
つまりチャットボットの内容の正誤を判断できずに、鵜呑みにする人が増えるです。
結果的に浅い人間で溢れていきます。
「今後はAIに使われないようにならないといけない」なんてスローガンを掲げていても、自分で文章を作ることができなければ結局は絵空事です。
いい道具を持ったとしても使う側が賢くないと踊らされるだけです。
その姿は高いクラブを使って満足している下手なゴルファーと同じです。
使いこなすスキルがないと意味がないのです。
ゼロからイチを作り出す力
中身が伴っていなければ、自分たちが知らないうちに、完全に支配されています。
私が考える「日本はあと10年」がますます現実味を帯びてきました。
未来が極度に予見しにくい今日、人間の普遍的な知識と技術である「人に言葉で伝える能力」を学ばないといけません。
どの分野で働こうと求められる基本的な学びです。
思考→判断→言語化の全てのプロセスを学び、論理、修辞、文法を一度で上達させられる学問領域はリベラルアーツだけです。
これを具現化するパブリックスピーキングがますます必要な時代となりました。
手遅れになる前にお子様の受講を検討してください。
https://commskill.net/csakodomopublicspeakingdojo
【筆者紹介】
野中アンディ
(一般社団法人 コミュニケーションスキル協会 代表理事)
子どもから大人までが参加する、言葉が洗練されるオンライン教室「パブリックスピーキング道場」を主宰。アメリカのリベラルアーツ科目である論理、修辞、文法を日本語に応用し、より独自性と創造性の高い言葉の作り方を指導している。現在は認定講師が各自の道場を持ち、言葉の見える化と映像化をテーマに全国に展開中。エグゼクティブ向けパブリックスピーキング、アスリート向けメディア対応などをプライベートレッスンでも教える。超実践的英会話講座「雑談English」シリーズも好評。企業や学校、PTA等講演多数。福岡県春日市出身。詳細はこちら。