日本勢メダルラッシュ!!のインタビュー

オリンピックは純粋にスポーツとして楽しんでいる私ですが、この仕事をしていると気になるのは試合前後のインタビューです。

昨日も多くの競技を見たのですが大野将平選手の金メダルと卓球混合ダブルスが印象に残りました。

大野選手の話しぶりを見て、彼の知的さを日本中が感じ取ったはずです。

その彼の言葉を「素晴らしいインタビュー」で終わらせてしまうのではなく、何がいいのかを説明できないと自分で話せるようにはなりません。

彼の話す姿はCSAの主張と合致しています。

 

・言葉に対する注意が払われているのが伝わる。

・独創性の高い表現を作り出している。

・抽象名詞が使われているため、洗練されている。

・他の選手とは違う語彙の選択を試みているのが分かる。

・だから知的さが伝わる。

聞けば彼は天理大学の大学院に通い、柔道を科学的に研究していたそうです。

だから論文を書き、多く読み、言葉を鍛えられています。

論文は100%言葉に依存しますので、その感性はより磨かれます。

ここが、私が国語教育で感情移入など不要だと常日頃訴えている理由です。

メッセージ伝達で印象を決めるのは、非言語よりも言語の方が多くの役割を担っているのです。

大野選手が使用した表現

実際、大野選手の受け答えは「気持ちを込めて」などという軽い表現では形容できない姿でした。

昨日の彼のインタビューで出た表現を挙げてみます。

 

「苦しくてつらい日々を凝縮したような一日の戦い」

「悲観的な思い」

「理想を体現する」

「賛否両論あることは理解しています」

「自分は何者かということを確かめるため、証明するために戦うことができた」

「その辛さ、苦しさを超えた先に何か学ぶべきことがある」

 

高度に修辞的で優れた語彙の選択です。

人前でこれらの表現を、自分らしい表現を使えるようになるのがパブリックスピーキングです。

トップアスリートはスポーツだけではなく、インタビューまでで完成だと私は考えています。

伊藤美誠選手にぜひ教えてあげたい。

彼女が言った「すんごく嬉しいです。すごい大挽回で、すごく楽しかったです。」を変えたい。

そしてスケートボードの中継で実況アナウンサーが使った「真夏の大冒険」などもCSAでやっている比喩ゲームに他なりません。

このメルマガ、読んでいただけているのかなぁ???

オリンピックインタビューはあと10日以上続きますので、コミュニケーション学者としては言葉の面白さの分析をまだ楽しめますな。