無駄な表現
日本語にはとにかく無駄が多いです。
これは合理性を優先する論理重視の言語ではなく、人間関係を重視するからです。
だから相手に良い印象を与えようと、おまけの付属品を乗せたがります。
先日の東京での集合研修で、現在アップグレーダー(講師)養成講座を受講中の方から面白い考えを聞きました。
「私、”させて頂きます”撲滅委員会を作りたいんです!」
すばらしいですね。
私もこの表現を不快に思っていました。
最近の日本人は”させて頂きます”を付け過ぎです。
私からはまだ言っていなかったのですが、やはりCSAは言葉に敏感な方が集まっています。
これこそ関係性を前面に出して、相手を持ち上げる言い回しです。
「日本らしくて何が悪い!!」という日本大好き人間たちがワーワー言ってきいそうですが、何にでも付け過ぎなのが問題なのです。
謙譲語として使っているようですが、言われている私は別にその人のために何もしていない。
こうした無駄な表現に関しては講座の中でも、受講生の皆さんにはいつも伝えさせていただいています。
私が申し上げさせていただいているのは、上記以外にもあります。
今回教えさせていただきたいのは、もしかしたらあなたも聞いたことがあるんじゃないかと思う最近の気持ち悪い表現です。
こんなの聞きませんか?
「旅行であったりとか、仕事であったりとか、正直本当にすごい便利だなっていう風には思います。」
気持ち悪い!!
「旅行や仕事で便利です。」って言えないのかぁ??
言えないんでしょうね。
分析してみましょう。
「~であったりとか」は最近やたらと聞く流行語です。
語彙が少ない人が長く話そうとしてつけるおまけです。
「正直」も最近やたらと聞く流行語です。
こちらは嘘を期待しているわけではありませんし、聞いたところで大して重要でもない時によく聞きます。
「本当に」も同じです。
「という風には」もまた最近よく聞きます。
これは何の言い訳なのでしょうか?
「他の考えもあるんだけど、こうした考え方も自分はできるんだよ」と釈明しているかのようです。
私はこれこそ流行語大賞だと思うのですよ。
あのイベントは本来なら話題大賞と呼ぶべきですね。
周りの流行語に流されて、そのまま使っていると、考えることを忘れるのです。
実際「旅行や仕事に便利です」以外の情報はほとんどないのですから、そこに独自性はありません。
自分の考えを放棄するのだから、そこから新しい考えは出てきません。
アイディアと言葉の関係
賢い話し方は賢くないとできないのです。
その秘密が論理と修辞と文法です。
この三つが欧米で学ばれているリベラルアーツであり、パブリックスピーキングなのです。
賢く学んでみませんか?
大人向けパブリックスピーキング道場
https://commskill.net/presentationdojootona
ジュニアパブリックスピーキング道場
https://commskill.net/csakodomopublicspeakingdojo
【筆者紹介】
野中アンディ
(一般社団法人 コミュニケーションスキル協会 代表理事)
子どもから大人までが参加する、言葉が洗練されるオンライン教室「パブリックスピーキング道場」を主宰。アメリカのリベラルアーツ科目である論理、修辞、文法を日本語に応用し、より独自性と創造性の高い言葉の作り方を指導している。現在は認定講師が各自の道場を持ち、言葉の見える化と映像化をテーマに全国に展開中。エグゼクティブ向けパブリックスピーキング、アスリート向けメディア対応などをプライベートレッスンでも教える。超実践的英会話講座「雑談English」シリーズも好評。企業や学校、PTA等講演多数。福岡県春日市出身。詳細はこちら。