アメリカの策略
今年の5月22日にバイデンさんが日本にやってきたのを覚えてらっしゃいますか?
彼はその時岸田さんに防衛費をNATO並みに引き上げるよう求め、岸田さんは口約束で「オッケー!」と言っちゃったんです。
日本はNATO加盟国でもないのに...
この約束が今回の増税の理由です。
簡単に約束しちゃって、それを守らずにアメリカ様様の機嫌が悪くなるのを恐れ、税金を使って防衛費を上げるのは「今を生きる国民が自らの責任として、しっかりその重みを背負ってすべきものである」としたんですね。
これはやはり叩かれて、表現が変わりました。
しかし、彼の口約束が原因で防衛費が増額され、その原資を作るために税金をかき集めるようになったのは事実です。
で、日本は今後アメリカにたくさん兵器を発注します。
でも、ここに興味深いコミュニケーションの駆け引きがあるのですね。
バイデンは岸田の交渉下手を知っています。
いえ、彼だけでなく日本政府はこれまでも何度も交渉で負けてきました。
当然、向こうには優秀な分析官がいます。
いくつものケーススタディと理論を駆使して文化的な分析を行い、学際的に解析しています。
バイデンは「国連安全保障理事会での日本の常任理事国を支持しまっせ」と伝えます。
以前世界ナンバー2の経済大国だった夢を未だに引きずっている日本は、以前から常任理事国になりたいと考えていたため、プライドと面子をくすぐられてしまいます。
でも、日本が常任理事国になったらアメリカ票が1票増えるだけです。
日本がアメリカに楯突くことはありませんので、アメリカにとっては好都合です。
だから他の国が反対しています。
まぁあんな国連安保理なんかは構造に欠陥がありますので、早いうちに作り直す必要があるのですが、ここではこれ以上は言いますまい。
常任理事国をちらつかすこの甘い言葉で日本の防衛費をGDPの1%から2%にするよう岸田をそそのかします。
その裏には当然ロシアとウクライナの戦争があり、中国と北朝鮮の追随がありそうな気配がありました。
日本にとって不安をあおられる好条件がそろっていたのですね。
今となっては岸田は日本国民に「ごめんちゃい。約束しちゃったから、みんな理解してよね。」とは言えません。
言い訳しかしませんから、自分の非を認めません。
コミュニケーション学の活用
ウチとソトでコミュニケーションを使い分ける日本文化を考慮すると、内側の国民よりも外の存在であるアメリカの顔を立てようとします。
そこまでアメリカ人は当然知っています。
こんなの対人コミュニケーションの承諾獲得理論と異文化間コミュニケーションの面子行動のクロスカルチュラル分析を学んでいたら誰にでもできる説得術です。
バイデンの日本の常任理事国への支持と防衛費増額は当時メディアで報じられましたが、今の日本人の多くはそれをすっかり忘れてしまっているようです。
アメリカのこの間の取り方も絶妙ですね。
7か月もあれば人は忘れます。
日本国総理大臣の下らない面子に対して、ビジネスのボトムラインを設定したアメリカの交渉術がこんなにも見え見えの茶番劇が興味深くてならない。
本来だったらこの増税額を研究予算に回して、日本製の兵器を開発すべきなのです。
でも平和ボケのために日本は戦争はダメ、かつ金儲けは悪!と考える人がこの社会には多い。
「増税してまで兵器開発だなんてもってのほか!」という人が大勢文句言ってきます。
三菱重工が兵器を作っているのは周知の事実。
ただ、三菱の兵器はアメリカのものと比べると質も劣るし規模も小さいし、戦闘機等もアメリカと一緒でないと作れません。
残念ながら旅客機すら作れない。
住友商事も魚雷を扱っています。
にもかかわらず、日本は教育の中で戦争も商売も扱うのを避けて、生き延びる術を学ぶことなく、弱い人間を大量に生産しています。
戦争は常に世界のどこかで起こっています。
いつまでもそれを自分とは関係ないところで起こっていると考え続けるのが日本社会。
そして商売を新しく作り出すのではなく雇われることこそが幸せと教え続けるのが日本の教育。
その弱点を何方向からも突かれて、合わせ技で結局負けるのが日本国政府なのです。
そして国民はなけなしの財産から税金を払わされ、それがアメリカの武器ビジネスに回るのです。
アメリカは自国の経済を潤すために世界を動かす術を知っています。
中国がアフリカの港の整備をするのと同じです。
日本政府だけが馬鹿正直に金を出して満足しています。
こんなのコミュニケーション学のバランス理論を知っていたら簡単にできる説明です。
賢く考えて、世界を見ましょうよ。
僕は日本に残された時間はこのままだとあと10年だと真剣に考えています。
一人ひとりが世界と渡り合う力をつけるのは今しかないと考えています。
だって、結果が出るのは少なくとも5年はかかるのですから。
韓国がそのいい例です。
グイグイ食い込んでいけるコミュニケーション能力を身につけて、世界を対等な舞台と考えましょう。
日本人が知らないだけで、誰でもやればできるんですから。
コミュニケーション学は最強学問です。
【筆者紹介】
野中アンディ
(一般社団法人 コミュニケーションスキル協会 代表理事)
子どもから大人までが参加する、言葉が洗練されるオンライン教室「パブリックスピーキング道場」を主宰。アメリカのリベラルアーツ科目である論理、修辞、文法を日本語に応用し、より独自性と創造性の高い言葉の作り方を指導している。現在は認定講師が各自の道場を持ち、言葉の見える化と映像化をテーマに全国に展開中。エグゼクティブ向けパブリックスピーキング、アスリート向けメディア対応などをプライベートレッスンでも教える。超実践的英会話講座「雑談English」シリーズも好評。企業や学校、PTA等講演多数。福岡県春日市出身。詳細はこちら。